多言語が響き渡ったユーラアンオペラを終え、ひさしぶりに、日本語の戯曲の世界にどっぷり向き合う日々です。
「ただ、おれのつくる世界はこれじゃねえんだ、もっと矛盾だらけの、ガサガサした、ゆたかとかなんどりとかあったかとはまるで正反対の、つめたくてまずしくてイライラするようなもんなんだ」
「オッペケぺ」。音楽を担当している舞台のご案内。12月27日~12/31まで、大塚の萬劇場です。
群像劇を織りなす登場人物の声、仕草。そこに松本ちはやさんの、繊細で大胆な、多彩な打楽器の音色が絡まり合います。稽古場で思わず胸が熱く、苦しくなります。
その後、欧米にも渡った川上音二郎が亡くなったのは、たまたま現在の自分と同じ歳。役者達から発される言葉の数々に、思わず自らの来し方を重ねてしまい、10年、あるいは20年、この創作への取り組みか早ければ、自分の人生や創作も、違ったものになっていたかもしれない。それが良かったのかどうかはわかりませんが…作曲したりコントラバスを弾いたりしながらそんなことを思わせる作品でもあります。
https://donalcapackhan.com/2022/12/04/oppekepe/
「明治期の自由民権運動の昂揚のなか、川上音二郎は軽佻浮薄な今の世へのプロテストソング、オッペケペ節を歌い、政権批判で一躍人気を得る。「歴史に材料をとりながらも作者の自由な想像によって書かれた」福田善之の傑作戯曲『オッペケペ』(1963年初演)には、音二郎をモデルとする城山剣竜が描かれ、城山がオッペケペ節という政治ソングから演劇へ(思想から芸術へ)、そして日清戦争翼賛劇へといたる様相が活写される。それは成長なのか変節なのか。そもそも「オッペケペ」節とは罵倒の掛け声ではなかったか。令和4年の「時代閉塞の現状」を打ち破る可能性を求めて、「オッペケペ」の掛け声を、現在に召喚する、空想的仮説の上演である。」
さて、いかに召喚するのか、演出の川口典成さんを中心にわたしたちの模索は続きます。12月27日から大晦日、その現場にぜひお立ち会いください!
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